balsamioさんの感想、レビュー
balsamio
デジタルプラットフォームが、分散統治の理想から寡占支配に至るプロセスを記す。かなりドラスティックな変化なしには、牙城を崩すのは難しい。
ヴィリ・レードンヴィルタ/濱浦奈緒子
ペンネームの著者が、イラン人の実態を記す。ホメイニ、ハメネイが出てくるとみんな悪態をつくというのが笑える。確かに、イスラムはアラブ人由来で、ペルシャ帝国の方が遥かに長い歴史を持っている。意外にイランの政治体制が変わる日も近いのか。
若宮 總
最新の古代史研究の紹介という触れ込み。確かに、大化の改新、中国との交流、律令制など興味深いが、権威者の存在が大きいせいか、語法がインナーサークルっぽいところが、部外者からみると違和感がある。
大津 透
トランプは分断の原因ではなく結果だということを繰り返し主張する。著者のバイアスはかかっているものの、一定の説得力はある。エリートが白人貧困層を小馬鹿にしてはいけない。
会田 弘継
期待とはやや異なる内容(マニュアルではない)。災害時のリーダーシップ論が中心で、具体的な施策については深みはない。問題は、災害と過疎高齢化が同時に進む地域。宮城県村井知事のコメントが最もミートしている気がする。
鈴木 哲夫
超電導リニアの原理、歴史、展望について、一般向けに紹介。コンパクトながら、よくまとまっている。
村上雅人/小林忍
写真とともに、満州国の成立、オペレーション、崩壊がわかりやすく記されている。
太平洋戦争研究会
南海トラフに対する国の見解を示した、いわば公式本といって良い。「真実」との比較は面白い。地域別の地震、津波のシミュレーションはよくできている。中でも、東海地方の揺れによる被害が心配。
山岡 耕春
一般向けえおうたいながら、かなり専門的にも踏み込んだ内容。図のキャプションがもっと大きいと良い。
山崎耕造
文科省の委員会取りまとめの一般啓蒙を意図した本。
「核融合エネルギーのきほん」出版委員会
鳥島で漂流民の痕跡を調べるために、アホウドリ保護チームに潜り込み、現地に到達する。過酷な島の状況がよく描かれているが、再挑戦をしようとしたものの東京都からの許可がおりないという、何とも不完全燃焼な結末を迎える。
高橋 大輔
大阪維新の会の政策は、ネオリベというよりは、財政ポピュリズムであり、特定層への予算措置を既得権益層への補助とみなし、広く普遍的に措置すべき、というものと分析。結果的に、公共、マイノリティへのサポートや、官主導のプロジェクトは滞ることになる。
吉弘 憲介
慶應、早稲田からはじまる反帝大の歴史。ルーツが丁寧に説明されている。
尾原 宏之
図表・データが豊富でわかりやすい
田村正之
斜め読みしたが、実践的。
今木 智隆
北朝鮮による原燃公社技術者の拉致?疑惑。長期間放置。
渡辺 周
左翼の低迷期を描く。
池上 彰/佐藤 優
複雑だが、面白い。
大塚 ひかり
面白かったが、専門的で一読では把握出来ないところもあったので、改めて読んでみたい。
古瀬奈津子
日本の武士は、源氏と平氏でほぼ尽きているという話。北条は平氏、足利は源氏、織田はエセ平氏、徳川はエセ源氏らしい。専門的な内容で名前も覚えづらく斜め読みだったが、面白い内容ではあった。
桃崎 有一郎
城先生から頂いた本。多くの事例から、危険運転致死傷の類型を浮かび上がらせる。アルコール、薬物、病気ときて、途中に高速度、殊更赤信号無視、と続く配置も分かりやすい。
城祐一郎
吉本ばななとの対談を読んでから冒頭のエッセイに戻るとよく理解できる。表現者が複数いる家庭がいかに困難かわかる。
ハルノ宵子
中井久夫全集の解説をもとにしており、オリジナルを知らない読者には全体に散漫。
最相葉月
アベノミクスの金融政策から財政政策への転換を描く。財政再建派と積極財政派の議員の塗り分けが面白い。
軽部 謙介
政治家の闘争。ナンバーツーという意味では、菅元官房長官と重なる部分が多い。
魚住 昭/佐藤 優
防衛問題の分析。
小野 圭司
コンテナがグローバルサプライチェーンを成立させるまでの紆余曲折を描く。地味な破壊的イノベーション。1960年代までのアメリカの労組や規制が非常に強かったこともわかる。
マルク・レビンソン/村井章子
バイエルン国立歌劇場でチャイコフスキーのスペードの女王(新作)をみた。演出は車とかもあって現代的ではあったが、ゲルマンの心の闇に迫ろうとしていた。歌手、オケともに素晴らしい。チャイコフスキーの美しい音楽と心の闇も凄い。
アレクサンドル・セルゲーエヴィチ・プーシ/神西清
ソ連におけるキツネの家畜化を試みる研究。ルイセンコ時代からゲノム解析まで、半世紀以上にわたる地道な研究は、ロシアの底力を示す。人間に慣れやすい個体が、環境圧によって遺伝子の表現型に変化をもたらし、ホルモン、骨格や社会的知性にまで影響がある。メイン研究者の一人(リュドミラ)が共著者の一人という位置づけが、若干謎。
リー・アラン・ダガトキン/リュドミラ・トルート/高里ひろ
共産党のみならず、社会党の歴史も紐解く。戦後社会党の緩さと多様性が、新左翼運動を育むことになった。
共著による日本左翼史の最新本だが、源流を扱う。
筆者の主張の妥当性はともかくとしても、ラピダスを筆頭とする半導体開発における親方日の丸体制の成否は5年後には判明するので、よく観察しておく必要がある。
湯之上 隆
一見公平性を装いながら統一教会のプロパガンダをしている。無垢な信者の描き方がなかなかすごい。
窪田順生
朝日新聞記者が、中国、アジアを中心とした鉄道模様を描く。高速鉄道をめぐる各国の思惑が興味深い。新幹線技術一本槍ではなかなか難しい。
𠮷岡 桂子
7世紀の倭国動乱の時代。乙巳の変、大化の改新、壬申の乱を経て、天武天皇で体制の基礎ができる。
吉川真司
中日新聞記者が、南海トラフ地震に関する国の対策の根拠を検証する。時間仮説のエビデンスの薄弱さを暴くが、最后に御用学者も登場。原発、コロナと、科学と社会の関係が問われたが、地震も然りだろう。
小澤慧一
要注意人物の佐藤優と、池上彰の対談。公平さを装っているようにみえるが、随所にロシアのロジックが埋め込まれており、判別が難しい。
鎌倉殿を観た後は、キャラ立ちが一層くっきりとした。頼朝、梶原景時、義経、弁慶など。佐藤忠信、勧修坊、静御前もすごい。個々の物語が積み重なって全体を構成していく。
町田 康
欧州の民衆のリベラル離れを、反緊縮の視点から読み解く。インタビューも臨場感があり、良く書けている。注目の記者。
津阪 直樹
著者の一人が行った日本語訳がまるで駄目だが、内容は面白い。再処理によるプルトニウムの活用は、直接処分と比べて経済合理性、安全性ともに劣るという主張。
フランク・フォンヒッペル(Frank von Hippel)/田窪 雅文/カン・ジョンミン(姜 政敏)
蘊蓄本としてはなかなか面白い。ガーゼの語源がガザ地区というのも驚き(但し、綿ではなく絹の発祥地というミスは残念)
山本 健人
2014年刊行、2015年に購入した本を、なぜか今頃読んだ。1990年代とやや古く、後半はかなり難しいが、なるべく簡略化せずに説明しようとしている姿勢は評価できる。
ジョージ・グリーンスタイン/アーサー・ザイエンス
薄くて簡単に読めそうな体裁の割には、説明がうまくない。少なくとも、斜め読みには不適。
岡野原 大輔
仁科芳雄を中心に、20世紀前半の世界と日本の科学技術の勃興をつぶさに描く。強電を学び、渡欧してボーアを始めとする量子力学のファウンダー達との交流を深め、帰国後はひたすら土壌をつくり、湯川、朝長のみならず、幅広い分野のリーダーを育てる。戦後は理研の再興に忙殺され、60歳で他界。スケールの大きさと、その場その場でのぎりぎりの選択が拮抗している。 この大著は、高く評価されるべきである。
伊藤憲二
コロナ禍を通した、尾身さんとの対談。パンデミックの記憶は容易に忘れ去られるというが、確かにこの3年間で何があったか、既に忘却が始まっていることに驚いた。一斉休校、アベノマスク、三密、まんぼう、東京オリンピック、GoToくらいまでで、オミクロンが流行った2022年からは判然としない。
牧原出/坂上博
ルポとしては面白いが、事件そのものが恐ろしい過ぎる。兵庫県警の責任も重大。警察がだめなら弁護士。
小野一光
地球温暖化に伴う移民問題をポジティブに捉える視点はユニーク。しかしながら、ファクトに基づく温暖化対策の分析という点では物足りない。
ガイア・ヴィンス/小坂 恵理
新たな発見はないが、バランス良く纏められている。
小山堅
バルトーク渡米後の妻ディッタと共の晩年5年間を、弟子が描く。天才、及びその家族の素顔を書いた、極めて貴重な書物。音に鋭敏で、森の中の猫を発見するエピソード、最晩年にオケコン等の大曲を気力の限りを尽くして創作する様子、ディッタがベラを支えながらも苛まれる姿など、リアルに伝わってくる。筆致も素晴らしいし、翻訳も優れている。
アガサ・ファセット/野水瑞穂
図書館で借りた。最初は面白かったが、途中から月並み感が出てきて、斜め読み。
ケビン・ルース/田沢 恭子
6年半に渡って中国で収監された著者の手記。さもありなん。語り口がなぜかポジティブ。翻って我が国の司法や入管のあり方にも透明性が求められる。
鈴木 英司
最近の著書の中では一番共感できた。
村上 春樹
ワグネル元隊員の手記。話半分にしても、表に立たない傭兵部隊の悲哀が描かれている。それにしても、プリゴジンはどこに消えたのだろうか?
マラート・ガビドゥリン/小泉 悠
データに基づき使われない国費を分析。予備費、基金、補正予算等。
日本経済新聞社
ストレートに分かりやすい。
菱田 雅生/大口 克人
山上徹也のツイッター投稿をもとにした論考。図書館で借りて斜め読み。
五野井 郁夫/池田 香代子
神様のセリフは面白いが、名前、関係性、ロジックが難しい。せっかくなのでもう一歩踏み込んでも良かった気もする。
貨幣の歴史を紐解く。ジョンロックに端を発する、貨幣そのものが価値を持つという古典派の考え方に対して、貨幣の本質は信用にあるというローからケインズに至る考え方を示す。非常に分かりやすく、説得力がある。
フェリックス・マーティン/遠藤真美
厚労省の職員と思しき著者による、官僚の観察記。政治家、国会対応に細心の注意を払いながら、あくまでも元気な官僚の生態を描く。それにしても、ブラックぶりは本当に改善してほしい。
霞いちか
JR東海を治めた葛西を描く。保守政治との関係は興味深いが、リニアへの漠然とした肩入れは根拠が弱い。ゴシップと割り切れば面白い。
森 功
図書館で借りたが、意外に面白かった。対米、憲法を巡る宮澤喜一の聞き書きは、大方そうだったのだろうと思わせる。御厨が言うように、岸田は意識することなく時代を転換させるのか、要ウォッチ。
田原 総一朗/御厨 貴
半導体をめぐる米中欧日の攻防を描く。
太田 泰彦
戦後に発足した自衛隊の位置づけと、可視化、国民からのサポートを求める動きについて記す。広報、災害派遣、PKO活動等を通して地道に普及を図る。自衛隊、防衛省にとっては、例えば田母神は跳ね上がりではた迷惑と認識されているようだ。
アーロン・スキャブランド/花田 知恵
プラハ国立劇場でみた。2Fバルコニー正面席は、舞台も完璧に見え、字幕用のタブレットまで備えてあり、とても良い。 19世紀末の作品だが、ドボルザークの(やれば何でもできるのに)決して一線を踏み外さないという保守的なポリシーが、フェアリーテールととてもよく合っている。旋律、和声、リズム、非の打ち所がない。 ただ、フェアリーテールといはいえ、王子と外国の王女の関係は謎。 歌手は上手い。オケはいまいち。
ドヴォルザーク, Antonin
いくつかのレポートを一冊にまとめたもの。
宇野重規
DNA解析から古代人類の進化、発展史が明らかになってきている。ホモ・サピエンスとネアンデルタール人、デニソワ人との混交や、世界各地へのホモ・サピエンスの進出の歴史は非常に面白い。ただし、日本語がこなれていない。編集者の問題か。
篠田 謙一
ドキュメンタリーとしては、狂気にかける。エンディングも尻切れトンボ。結局、動機の説得力が弱いと思われる。
伊澤 理江
語学の側面はさておき、80〜90年代の若者の自分探しの記録としてとても面白い。
高野 秀行
現代思想入門というより、フランス現代思想入門。「入門」としては工夫がなされているが、そもそもフランス思想の難解さを尊ぶ気風は、言葉遊びの域に留まっているように思え、正直共感できない。但しフーコーは社会とのつながりもあって面白いかもしれない。
千葉 雅也
マルクス主義の上部構造、下部構造や、史的唯物論ではなく、力の交換こそが社会を形づくる本質だという論考。難解だが、繰り返し主張が語られるので、だんだんその気になる。まさに思想家の語り口であり、原語でこれを読めるのは、日本人の特権であろう。他の著書も読んでみたい。 あと、後世にこれを書かせるマルクスも、改めてすごい。
柄谷 行人
学生時代からシベリア抑留までを描いた叔父の絵巻物(32m)を本にまとめた。元々、このように広く流布されることが想定されていなかっただけに、奇書であり、胸を打つ。
澤田精之助/下山礼子
図書館で借りてきてもらった。前世紀末の金融機関に巣食う反社勢力を描く。預金保険法に基づく国による金融機関救済制度や、警察国税との連携がなかったため、反社への債権の焦げ付きが常態化し、また破綻処理も遅れ傷口を拡げたということ。後半の預金保険機構(と整理回収機構)の思い出話はご愛嬌。
海棠進
エンパシーボックスにはじまり、未来を予見した名作。読み進めるうちに、アンドロイドと人間の境界が段々とぼやけてくる。ブレードランナーの原作。
フィリップ・キンドレッド・ディック/浅倉久志
奈良の寺院の建築様式を一般向けに解説。要素がきれいに整理されている。ただし、新書の限界があるので、オンライン講座等で勉強したい。
海野 聡
タイトルに違わず、旧約聖書のコンセプトや立ち位置が、対談によって明瞭になる。特に、ヨブ記に重点を置く。神が全てを決めるのではなく、善悪を含む人間の自由度を残しておき、神ではなく人間が責任を取るようにしたという解釈は、なるほどと思う。
並木 浩一/奥泉 光
かなり奇妙な本だった。地下ラビリンスのくだりは出来損ないの村上春樹のようだが、天皇制をタブー視しない姿勢は、強靭。一方で、天皇皇后への個人的な親しみ感満載振りは、理解はできるがアンバランスで、右翼対策かと穿ってしまうほど。
森達也
皮膚の働き、役割を、様々な角度から考察。医学的のみならず、タトゥー、アルビノ、ハンセン病など、社会的な意味も問う。
モンティ・ライマン/塩崎香織
前半の高口氏の部は、パターナリズムを温情主義と訳すなど、親中的過ぎる感はあったが、後半の梶谷氏の分析は面白い。単なるパノプティコンでもディストピアでもなく、いわゆるメタ合理的な社会制度が欠落した伝統的な中国社会で、庶民と支配層がテクノロジーを通して功利的に結びつくというのは確かにあり得る。一方で、ウイグルのような悲惨な状況もあるので、単純に描くことはもちろん難しい。
梶谷 懐/高口 康太
12人の兄弟のうち6人が重篤な精神疾患を抱える家族の物語。遺伝的な背景の上に過酷な環境が重なり、発症に至るという一般的な説明はあるが、個別の具体的な話になると実に凄まじい。マウス研究が難しいため、薬の開発も容易ではない。
ロバート・コルカー/柴田 裕之
中国共産党の100年の歴史を概観する。権力奪取から大躍進期の大量粛清、飢饉は十分に知られていない。ハイライトである、文化大革命、天安門事件の記述がもう少しあっても良かったが、全体をコンパクトにまとめるというコンセプトは成功している。民主派に弱腰な胡錦濤時代の反省のもと、エスタブリッシュメントが習近平を強力な独裁者として据えたという分析は興味深い。
高橋 伸夫
日本、ソ連それぞれの戦記を対比させながら、ソ連の極東占拠の実態を描こうとする試みだが、一般向けには難解すぎる。せめて地図を充実させる等工夫をしないと、戦闘の推移が全く分からない。
富田武
犯罪捜査学の草分け。翻訳のせいか少し読みづらいが、ライバルとの対決の描写を含めて面白かった。
ケイト・ウィンクラー・ドーソン/高山祥子
スプリングエイトが出てくるというので読んでみたが、ポエムだった。なんじゃこりゃ。
田鶴寿弥子
ドキュメンタリー小説なので、登場人物はちょっと文学に造詣が深すぎる気がするが、真実を描いているのだろう。大祖国戦争の兵器、古い軍服、50年代の缶詰、死体に仕込む地雷など、ウクライナ侵略のルーツはここにある。裁判でドキュメンタリー小説に関わる鑑定依頼をされたベラルーシアカデミーのコメントも格調が高く良かった。
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/奈倉 有里
アメリカ現代政治の概説。まとまっている。
渡辺 靖
セキュリティは重要
ニコール・パーロース/江口 泰子
同時テロ後、NSAが進めるサイバーの戦い。ゼロデイ、エクスプロイト、バックドア。後のファーウェイへの疑念は、NSA自身の裏活動があってこそ。イランの遠心分離機の破壊。トルコから中国へ。
インドネシアにおける暴力をもとに、アメリカ・CIAの第三世界での反共政策が実施されたという主張。スハルトのクーデターはあまり知られていないが、これが歴史の転換になり、第三世界のアメリカへの信頼は大きく損なわれた。この構図は第二世界の崩壊を経て現在も続く。「狂気の時代」と合わせて読むといかに罪深い所業かがよくわかる。
ヴィンセント・ベヴィンス/竹田 円
なんじゃこりゃ。。。個々の主張に対する分析はともかくとして、議論の中身が薄っぺらい。
永濱 利廣
基本的な知識が得られる。
本書は2020年のアメリカ大統領選挙の前で終わっているが、2021年の議事堂占拠事件、2022年のウクライナ侵攻は、まさに地続きの出来事で、必然とも思える。トランプのロシア繋がりがここまで公知のものになっているとすると、エスタブリッシュメントの逆襲により、トランプの再選はありえない筈。
ティム・ワイナー/村上 和久
コンパクトにまとまっており、意外に面白かった。
内藤博文
一般書としては難解過ぎる。
ポール・ミルグロム/熊谷 玲美
ソウルにおける持たざるものの劣悪な住宅事情を描く。チョッパンには、最底辺層や学生が押し込められ、大家は安定な投資として金儲けをするという新自由主義的な構造。
イ・ヘミ/伊東 順子
意外に面白く、読み応えがあった。データを参照しながら、適度に著者の主張を混ぜる。予備校講師の立場の良さを活かしている。
山岡 信幸
ウクライナ侵攻以前に書かれた本だが、ロシアの大国意識をはじめとする、ロジックの理解に役立つ。
小泉 悠
天災、戦争、パンデミックなど、人類の被ったカタストロフィの歴史を紐解く。パンデミックの伝播には、スーパースプレッダを含むネットワークの理解が重要。米中の新冷戦は不可避であり、むしろ可視化されたことを歓迎すべきという主張。
ニーアル・ファーガソン/柴田 裕之
ロシアの日常を軽いタッチで描く。佐藤優の専売特許のジャンルだったが、こういう人が出てくるのは健全である。
ウクライナの極めて複雑な歴史を解説。モンゴル、リトアニア、ポーランド、ロシア、トルコ、ドイツなどによる支配、第一次世界大戦から戦間期に至る大混乱、ソ連時代の抑圧を経て独立に至るが、民族的にも一枚岩ではないし、優れたリーダーがいたわけでもなく、国家の運営は容易ではない。もう一つは、現在のロシア侵攻を予測した訳でもなく、単なるウクライナ大使になったというだけで、これだけの本を書くという著者の気構えは称賛されるべきである。
黒川祐次
連載を単行本にまとめた。各章冒頭のコーヒーのうんちくは、単行本だと鬱陶しい。対象は広く、内容もそこそこ面白い。
高橋昌一郎