物語ウクライナの歴史
黒川祐次
中央公論新社
作品紹介、あらすじ
ロシア帝国やソヴィエト連邦のもとで長く忍従を強いられながらも、独自の文化を失わず、有為の人材を輩出し続けたウクライナ。不撓不屈のアイデンティティは、どのように育まれてきたのか。スキタイの興亡、キエフ・ルーシ公国の隆盛、コサックの活躍から、一九九一年の新生ウクライナ誕生まで、この地をめぐる歴史を俯瞰。人口五〇〇〇万を数え、ロシアに次ぎヨーロッパ第二の広い国土を持つ、知られざる「大国」の素顔に迫る。
感想やレビュー
ウクライナの極めて複雑な歴史を解説。モンゴル、リトアニア、ポーランド、ロシア、トルコ、ドイツなどによる支配、第一次世界大戦から戦間期に至る大混乱、ソ連時代の抑圧を経て独立に至るが、民族的にも一枚岩ではないし、優れたリーダーがいたわけでもなく、国家の運営は容易ではない。もう一つは、現在のロシア侵攻を予測した訳でもなく、単なるウクライナ大使になったというだけで、これだけの本を書くという著者の気構えは称賛されるべきである。
ウクライナ通史