統合失調症の一族
ロバート・コルカー/柴田 裕之
早川書房
作品紹介、あらすじ
「息子がまた一人、精神に異常を来した」第二次大戦後、ギャルヴィン一家は空軍に籍を置く父親の都合でコロラド州コロラドスプリングズに移り住むことになった。ベビーブームを背景に12人の子宝に恵まれた一家であったが、1970年代半ばには、ギャルヴィン家の子供のうち6人が統合失調症と診断された。厳格な父母によって育てられた容姿端麗で運動能力の高い息子たちは、なぜ次々に精神疾患に見舞われたのか。一方で、サイコセラピーと抗精神病薬による薬物療法が主流だった当時、遺伝的側面から統合失調症の原因究明や治療・予防法の発見を目指す研究者たちがいた。彼らはギャルヴィン家の人々と出会い、血液検査などを通じて、統合失調症にかかわる遺伝子をひとつずつ突き止めていくー。精神医療研究に多大な影響を与えた一家の姿を通して「病」と「人間」の本質を問い、各メディアの年間ベストブックを総なめにしたノンフィクション。
感想やレビュー
12人の兄弟のうち6人が重篤な精神疾患を抱える家族の物語。遺伝的な背景の上に過酷な環境が重なり、発症に至るという一般的な説明はあるが、個別の具体的な話になると実に凄まじい。マウス研究が難しいため、薬の開発も容易ではない。