命の灯火が尽きた時、最期をどう向き合っていくかをメインに描いた作品。日本では「安楽死」は認められていないため、患者がそれを希望してもそのまま死に向かわせることはできない。医師が執筆した作品ということもあり、医学用語や難解な言葉が多く、辞典で調べながら読み進めていった。そして、京都を舞台にしているため、京都の祭り・名所・通りの名前など、京都に関することも学べた。京都の地域病院(原田病院)で内科医として勤務する主人公 雄町哲郎(38)は、もとは大学病院で凄腕内科医として名を馳せていたが、ひょんなことからこの原田病院で勤務することとなった。オランダの哲学者 スピノザ (1633~77)の「世界はすべて決まりきっているが、だからこそ努力が必要」という言葉に感銘を受け、ここ(原田病院)でできる最大限の努力をして行こうと心に決めた。また、大の甘党で餅が大好きなことも書かれている。