スピノザの診察室
夏川 草介
水鈴社
作品紹介、あらすじ
雄町哲郎は京都の町中の地域病院で働く内科医である。三十代の後半に差し掛かろうとした頃、最愛の妹が若くしてこの世を去り、一人残された甥の龍之介と暮らすためにその職を得たが、かつては大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望された凄腕医師だった。哲郎の医師としての力量に惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、愛弟子の南茉莉を研修と称して哲郎のもとに送り込むが…。数多の命を看取った現役の医師でもある著者が、人の幸せの在り方に迫る感動の物語。
感想やレビュー
訪問診療。 マチ先生の考え方とかとても癒される。 これは続きが読みたい
夏川草介さんの本、さすがです。スピノザについても人間はとても無力な生き物で、大きなこの世界の流れは最初から決まっていて、人間の意志では何も変えられない。でもだからこそ努力が必要だと。矢来餅、阿闍梨餅、長五郎餅たべてみた〜い。
雄町先生、龍之介くん 南さん 辻さんの最期の言葉 「おおきに 先生」感動
命の灯火が尽きた時、最期をどう向き合っていくかをメインに描いた作品。日本では「安楽死」は認められていないため、患者がそれを希望してもそのまま死に向かわせることはできない。医師が執筆した作品ということもあり、医学用語や難解な言葉が多く、辞典で調べながら読み進めていった。そして、京都を舞台にしているため、京都の祭り・名所・通りの名前など、京都に関することも学べた。京都の地域病院(原田病院)で内科医として勤務する主人公 雄町哲郎(38)は、もとは大学病院で凄腕内科医として名を馳せていたが、ひょんなことからこの原田病院で勤務することとなった。オランダの哲学者 スピノザ (1633~77)の「世界はすべて決まりきっているが、だからこそ努力が必要」という言葉に感銘を受け、ここ(原田病院)でできる最大限の努力をして行こうと心に決めた。また、大の甘党で餅が大好きなことも書かれている。
医者もの
大きな展開はないがマチ先生が大学病院に内視鏡手術の手伝いに行く所は面白かった。良い本。
最先端の医療と町中の人生に関わるひとの生死を見つめる医療。 どうにもならない世の中に対しても努力は大切と説く哲学者スピノザの言葉を拠り所に、一人ひとりの生命を大切にする。 急がなくてよい、先生おおきに、寒がってる人に外套をかけてあげる役目なんだよ。 技術と哲学どっちも大切。バランス。