Yさんの感想、レビュー
Y
由緒あるホテルのアフタヌーンティールーム勤務の鈴音。念願のティールームに配属され、やる気満々。ともに働く同僚や、スイーツを作るシェフ、アフタヌーンに訪れる客などとの関わりを通して少しずつ成長していく姿が読んでいて心地よい。 パリピとか、コミュ障とか、陽キャとか陰キャとかってカテゴライズするのも、そうやってキャラづけして自分を護ってるだけ。私はこうなんで、、それ以外は無理でーす、わかってくださーいって端から周囲に言い訳している。
古内 一絵
エッセイ集。 最初は軽い雰囲気だったのに、コロナ辺りから俄然思い感じのに…。外出もできず、ちびっ子を抱えた筆者の鬱々とした思いがまん延する。 女友達と交代で自宅を開放するオープンハウスシステムやら、大阪の梅田駅ホームを見下ろせるcafeLILASやら、面白そうなネタもいっぱい。 子どもネタはわかるわかるもあるが、ちょっと相容れないなぁという面も。母親って難しい。いろんな考え方があるな。
柚木 麻子
離婚して、大量の荷物とともに一人暮らしを始めたりり子叔母さんのもとへ、片付けの手伝いに行く瑞希。大量の荷物をネットオークションでさばいていくうちに、どうしようもないと思っていた叔母さんと少しずつ心が通い合っていく。 現在の状況に陥っている理由が、りり子にあり瑞希にもある。少しずつ今の場所から踏み出していく終わり方。 もう1編のあめよびは私にはいまいち。
原田ひ香
大学に入学したばかりのコミュ障気味の門田暖平。入学式で出会った先輩碧に連れられるように落研に入部。少しずつ人との関わりの楽しさを覚え、世界を広げていく物語。 ちょっと出来すぎな感はあるが、少しずつ陰から陽へと変化し、自分を変えていく暖平が清々しい。 人間は、落ちていくときとかダメになろうとするときは誰かを誘おうとせるくせに、上がっていくときとかよくなろうとするときはコソコソ一人で行こうとする
喜多川 泰
大田垣さんのコミックエッセイ好き。 さらっと読めるし、うんうん、そうだよね。って共感ポイントが多数。 今回の共感は、買って満足、旅の楽しみ。 買って満足して使わないとか、お土産買って渡さないとか、あるある。
大田垣晴子
初読み作家さん。 高校生の聖将の恋人が、同性の大学生だった。母、息子、母の友、父、恋人と視点を変えつつストーリーがテンポよく展開していく。 認めてあげたい気持ちだけでなく、きれいごとでは終われない複雑な気持ちもよく分かる。うまく進みすぎちゃったと感じつつ、当事者を取り巻く人達の気持ちにも寄り添えた。
秋吉理香子
戦前戦後、千代とお初の主従関係を超えた心の繋がりを描いた物語。最初と最後で主従関係が逆転するが姉妹のような友のような2人の関係が心地よい。 食事の描写がおいしそう。 関東大震災の被服廠の存在、初めて知った。
嶋津 輝
不登校の子をもつ啓喜、男性が苦手な八重子、男性経験のない夏月。さまざまな悩みをもつ人達が絡み合う。水に性的興奮を覚える人がいるなんて想像もしなかった。 でも、そういった人が誰にも理解してもらえないと諦めてしまう気持ちも何となくわかるような… 常に自分が受け入れる側という考え方も思い上がりなのかも。
朝井 リョウ
祖母と孫娘のイギリス旅行記。 伯父達のバックアップの元、祖母のイギリス旅行のお世話係として同行した筆者の思い出エッセイ。豪華なホテルのスタッフの心配りの素晴らしさ。 滞在ホテルのバトラー、ティムの言葉。 友情、敬意、思慕、ときに強い敵意すら、人と人を強く結びつけるもの。恋愛はそうした要素の一つにすぎない。
椹野 道流
原田ひ香さんの料理の描写が好きだ。あ、食べてみたいと思わせてくれる。 今回もそんな感じの始まり。 大学の同級生同士で起業したメンバーの中で、一つの話ごとに語り手が変わっていく。起業の中心として活躍したものの後に出奔する柿枝とのいざござが少しずつ明らかになっていく内情…という感じ。家政婦のみのりが作るご飯がおいしそう。ただ、話が進むにつれだんだんと暗くなっていき、最後も晴れやかではない終わり。
大学で出会った文学美人に認められたいがために芥川賞を目指す青年を主人公とした文豪ゲームブック。新聞の書評に載っていたので読んでみたが… うーん、私には合わなかった。 数々の選択の連続で人生は作られていくが、実はこんな些細な選択で変わってしまうのかも。でも、データをExcelで作るかWordで作るかで、こんなにも変わんないでしょ。
佐川恭一
親がどんどんかわっても、どの親からも愛されている優子。ほんわか心温まる物語。自分の子どもでもない優子をこんなにも愛せるすばらしい人々。子どもを愛するという単純な気持ちに対して、それでいいんだよと背中を押しもらえたような気持ちになる。最後は涙がでてきた。 明日が二つ。自分の明日と、自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日がやってくる。 自分より大事なものがあるのは幸せだし、自分のためにはできないことも子どものためにならできる。 ほんとそのとおり。
瀬尾 まいこ
吸血鬼の弓子は自分の招待がばれないように人間社会にとけ込んで家族と暮らしている。ある日、吸血鬼として成人を迎える弓子の元に、吸血鬼として認められるかを判断するため、Qという物体?がやってくる。 Qを鬱陶しく感じていた弓子とQが急速に心の距離を縮めていくところ辺りからがテンポがよくてよかった。万城目学の作品はこんな感じが好き。
万城目 学
いじめられた経験のある転校生里香と、転校先のクラスにいた彩名と交互に視点が代わって話が進んでいく。 同じ時間でも視点が代わるとこうも捉え方が変わるのかという驚き。いじめの始まりはこんな始まりもあるはず。中学生の微妙な空気感。 彩名は生きてくのが大変そうな子だ。 読んでいて楽しくはないが考えさせられる。
真下 みこと
嫌われ松子の一生を読んだのがずいぶん前だから、続編として手に取ったけれど、前作を覚えていなくても全く問題なし!夢に向かって歩いていく若者の物語。あんな完璧な彼と別れてハードルの高い留学を目指す明日香ほすごい。 昔付き合ってた笙と明日香の視点から交互に物語が進み、最後は2人が再開し、夢に向かって進んでいく物語。医師になりたくて笙と別れて大学を受け直した医学生明日香。一方笙は就職に失敗してフリーターをしているときに出会ったミックの影響で俳優を目指す。
山田宗樹
遠くて近きもの。極楽。舟の道。人のなか。 最後の枕草子の一節が印象的。 ストーリーの最初は春。終わりの冬至のころにはすっかり別の人間関係ができあがっている。 有吉家の菜穂も克子もどちらも好きになれない。夫の一樹も。菜穂が見出した樹が実は姉妹だったというのも… 原田マハの作品は好きなのが多いんだけどな。
山口恵以子
おもしろかった。 主人公は苦学生の真央。真央が大学生のとき、アルバイト先で出会った試食販売の天才、四葉さん。彼女は真央の置かれた環境を聞き、惜しげもなく自分の宝石箱を与える。物語がすすむにつれ、四葉の過去が少しずつ明らかになり、時代も少しずつ進んでいく。最後は今より少し未来の日本が描かれているが、こんなふうになってるかも、と思わざるをえない。
舞台は長野? さまざまな事情を抱えた人々が集まったペンション、ムーンライトイン。老人オーナー虹さん、車椅子のかおるさん、息子が外国に行ってる塔子さん、フィリピン人マリー・ジョイ、三十代フリーターの拓海くん。 それぞれの事情があきらかにされつつ、未来へと踏み出していくストーリー。 拓海くんがちゃんとマリーを迎えに行くといいなぁ。マリーのような子がたくさんいるのかと思うと切ない。
中島 京子
世代が近く同じ性のため、うんうんそうだよねと妙に納得するところがたくさん。子ども、女友達、旅行観、彼氏に依存しまくりの若い頃… 筆者の黒歴史は同じく自分の黒歴史に近いものがあった… 私が見ている月の輝きは、太陽の光をあてられたほんの一面にすぎないということを、忘れないようにしなければ。
吉川 トリコ
料理学校の娘、るきこその料理学校ができた頃の西洋料理を日常的に調理できるよう試行錯誤を重ねたしずえその2人の視点から交互に物語が進んでいく。心の中に実家への反発もあったるきこが少しずつ受け入れていく様子もよい。何より出てくるごはんがおいしそう! 酢キャベツ2、3センチ角に切ったキャベツな軽く塩。しんなりしたところに酢と油、少しの砂糖を加えてなじませる。にんじん、玉ねぎ、パプリカを千切りにして加えてもよい。ポン酢醤油や寿司酢を少し加えても美味。
原田 ひ香
★★★★ 孫、母、祖母の三世代にわたる物語。読み進めていくうちに過去に遡りいろいろなことが明かされていく。そういうことかーと読後、読み返したくなる。わかったうえで読むとまた違う感想が出てきそう。