かつて経験したことのない独特な世界観である。一概にホラー小説と言っていいのだろうか。平穏な日常を送っていた人が、どこをどう間違えたか阿鼻叫喚の世界へ足を踏み入れてしまう。巧みな筆さばきと限界を超えた想像力。終盤はとてもついて行けなくて、何なんだろうと思うばかりで途方に暮れた。早く安心出来る場所に帰りたいと願ってしまいながら、帰るに帰れない。それぞれの短編が濃密で「禍」で圧縮されている。読了後は唯々、茫然自失。疲れ果てた。深い溜息とともに「…」となるばかりだった。とんでもない作品である。万人には向かないと思うし、前半は楽しめたけど、後半はスケールが壮大すぎて宗教とか輪廻思想とかもう無理!と思う部分もあったが、凄いのは凄い!