gegetomさんの感想、レビュー
中学時代の鬱屈した感情、自分の居場所づくりに必死な毎日、アンの感情がギンギンに伝わってくる。 物語は不気味な流れで進み、いよいよ悲劇の瞬間というところまでくるのだが、中二病の2人は結局それをやり損ねる。その後は一転何事もなかったような日常に置き換わる。 アンにとって中二病時代の「オーダーメイド殺人」は、青年になって振り返った時に「クラブ」とよべる程に客観視できるようになった。 誰もが薄めてしまう中二病時代の思い出を、密度そのままに描けるって、さすが辻村深月氏。つくづく繊細な人なんだなと思う。