往復書簡
湊 かなえ
幻冬舎
作品紹介、あらすじ
高校教師の敦史は、小学校時代の恩師の依頼で、彼女のかつての教え子六人に会いに行く。六人と先生は二十年前の不幸な事故で繋がっていた。それぞれの空白を手紙で報告する敦史だったが、六人目となかなか会う事ができない(「二十年後の宿題」)。過去の「事件」の真相が、手紙のやりとりで明かされる。感動と驚きに満ちた、書簡形式の連作ミステリ。
感想やレビュー
『十年後の卒業文集』についての読後感。高校の同級生同士の結婚式に集まった旧友。そこに一人だけ参加していない子が。それは当時の新郎の彼女。5年前の事故以降行方不明になっている。書簡形式の文体が手記の雰囲気を醸し出しミステリー感が膨らんでいく。高校時代の思い出は楽しさと苦さが表裏一体。記憶の中の同級生の印象、勝手な先入観、自己満足な空想が絡み合い、行方不明に仕立てあげられた友人は落ちぶれた人生を送っていると噂されるが、実は…。ミステリーで始まった物語だけど最後は滑稽とも言える展開で終わった。
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