つるかめ助産院
小川糸
集英社
作品紹介、あらすじ
夫が姿を消して傷心のまりあは、一人訪れた南の島で助産院長の鶴田亀子と出会い、予想外の妊娠を告げられる。家族の愛を知らずに育った彼女は新しい命を身ごもったことに戸惑うが、助産院で働くベトナム人のパクチー嬢や産婆のエミリー、旅人のサミーや妊婦の艶子さんなど、島の個性豊かな仲間と美しい海に囲まれ、少しずつ孤独だった過去と向き合うようになりー。命の誕生と再生の物語。
感想やレビュー
某南の島にある助産院が舞台となるハートフルな物語。 著者が紡ぐ言葉の数々に胸を打たれ、妊婦の心情の変化や命懸けの出産シーン等途中涙しながら読んだが、ラストがどうにも納得いかず、ポカーンとなってしまったのが唯一残念。 長老のキャラが素敵。大好き。(笑)
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物語は主人公まりあの夫小野寺君が突然失踪するところから始まる。途方に暮れたまりあは夫との想い出の地である南の島を訪れる。島の情景やまりあの心情がとても丁寧に描かれ、それが南国独特の緩やかな時間の流れを醸し出している。本を開くたび、緩やかな時間の流れが漂ってくるようだった。ハッピーエンドでホッとするのだけど、小野寺君の失踪の原因や、先生の若い頃の話や、長老の悲恋の話など、匂わせながらも詳細が語られないところがいい。小川糸さんの作品を読むと、一杯のお茶でも丁寧にいれよう、という気持ちになる。
なかなか🙂🙂🙂
小糸さんの文章や言葉遣いが好きです。 食堂かたつむりもそうでしたが、でてくるごはんがどれも美味しそうで…。 悲しい過去を持つ人がたくさんでてくるのに、心が温かくなる物語です。 命って、出産って素晴らしいと思い出させてくれる作品でした。 ずっと家にあったのに先延ばしにしていて、出産前にちゃんと読んでおけばよかった!!と思いました。