オーダーメイド殺人クラブ
辻村深月
集英社
作品紹介、あらすじ
クラスで上位の「リア充」女子グループに属する中学二年生の小林アン。死や猟奇的なものに惹かれる心を隠し、些細なことで激変する友達との関係に悩んでいる。家や教室に苛立ちと絶望を感じるアンは、冴えない「昆虫系」だが自分と似た美意識を感じる同級生の男子・徳川に、自分自身の殺害を依頼する。二人が「作る」事件の結末はー。少年少女の痛切な心理を直木賞作家が丹念に描く、青春小説。
感想やレビュー
中学時代の鬱屈した感情、自分の居場所づくりに必死な毎日、アンの感情がギンギンに伝わってくる。 物語は不気味な流れで進み、いよいよ悲劇の瞬間というところまでくるのだが、中二病の2人は結局それをやり損ねる。その後は一転何事もなかったような日常に置き換わる。 アンにとって中二病時代の「オーダーメイド殺人」は、青年になって振り返った時に「クラブ」とよべる程に客観視できるようになった。 誰もが薄めてしまう中二病時代の思い出を、密度そのままに描けるって、さすが辻村深月氏。つくづく繊細な人なんだなと思う。