NIEさんの感想、レビュー
美しい都市と醜い都市を区別するというのは、非常に難しい。端的に言えばそういう本。ただ、多くの例示から、では自分にとっての、建築美醜判断はどこだろう、と考えさせられる。答えが明示されるわけではないが、無知蒙昧に、「権威が言ってるから」とか、「ヨーロッパの建物は美しいから」とかいう何回も何回も見せられた刷り込みの考えを是とすることに対しての批判である。結果的に美醜の判断が上記と同じ結論に行き着くのは自由だが、本当に美醜の基準が自分の中にあればその論はしっかりと説明できるだろう。 はっきり言って、私は建築の美醜がよくわからない。ただ、「これが建築美ってやつです」という押し付けがましい美醜論がなんだか気に喰わないという気持ちだけ持っていた。それで読んだわけだが、答えがあるものでもないので、肩透かしを食らった。まあ安易に人の基準を貰おうと思った私が悪い。 北朝鮮の建築については中々考えさせられるものがあった。勝手なイメージで、その国の建築を見るものではないな、と思わされた。