西洋古家具店アシュリと白い猫
岡篠名桜
光文社
作品紹介、あらすじ
大阪ミナミの雑居ビルにある、「ビンテージ&アンティークショップ アシュリ」。アメリカのミッドセンチュリー家具を中心とした西洋古家具店だ。ふと訪れた女子大生の季子は、店頭にあった猫のブックエンドを誤って壊してしまったのをきっかけに、アルバイトをすることになった。時を経た家具に囲まれた店は落ちつくけれど、店長も来客もなんだか謎めいていてー使い込まれた家具が呼び込む、奇蹟によく似た物語。
感想やレビュー
中々面白かった。関西弁でのセリフばかりだが、違和感もなくすっと読み込める。主人公が強い特徴を持ってないところも、平凡な女子大生として創造できて楽しい。特徴があるといえば、店長のバンダナぐらい? もう少し家具と関わり深い話の方が好みだけれど、過ぎると登場人物たちに特殊能力に近いような才能を持たせずには展開できないので、いい塩梅なのかもしれない。 日常の延長線上のような緩やかな舞台の中で、時折訪れる小さなミステリがスパイスのように効く。毎日食べられるカレーのような物語だった。