美しい都市・醜い都市
五十嵐太郎
中央公論新社
作品紹介、あらすじ
日本橋の首都高移設や景観法制定など、「美しい国」をつくる動きが始まったが、「美」とは何か?新世代の論客が、平壌取材からアニメの中の未来都市まで、縦横無尽に検証する。写真多数。
感想やレビュー
美しい都市と醜い都市を区別するというのは、非常に難しい。端的に言えばそういう本。ただ、多くの例示から、では自分にとっての、建築美醜判断はどこだろう、と考えさせられる。答えが明示されるわけではないが、無知蒙昧に、「権威が言ってるから」とか、「ヨーロッパの建物は美しいから」とかいう何回も何回も見せられた刷り込みの考えを是とすることに対しての批判である。結果的に美醜の判断が上記と同じ結論に行き着くのは自由だが、本当に美醜の基準が自分の中にあればその論はしっかりと説明できるだろう。 はっきり言って、私は建築の美醜がよくわからない。ただ、「これが建築美ってやつです」という押し付けがましい美醜論がなんだか気に喰わないという気持ちだけ持っていた。それで読んだわけだが、答えがあるものでもないので、肩透かしを食らった。まあ安易に人の基準を貰おうと思った私が悪い。 北朝鮮の建築については中々考えさせられるものがあった。勝手なイメージで、その国の建築を見るものではないな、と思わされた。
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