Bookstand
Bookstand

らいかさんの感想、レビュー

冲方丁「月と日の后」下巻。読了。 永井路子の「この世をば」を高校生の時に読んで道長の有頂天っぷりがとても面白かったのだが、本作はその娘彰子(しょうし)から目線で見たお話と、その彰子が国母となっていく物語。 物語というよりなんかドキュメンタリーを読んでいるかのようだった。会話がかなり少なく、日々移り変わる状況が説明されていく。新王の敦成の出産、最愛の一条天皇の崩御、道長と兼家の二家の確執、次の東宮をたれか、皇女はたれぞ、権謀術数うずまくなかで彰子が何を考え何を判断していったか、そしてその心の強さ。 淡々と進むのになんだろなんで面白いのだろう。不思議だ。紫式部が亡くなった知らせを聞いた時は「相棒よ!」と彰子と共に悲しみに暮れたりもした。 父が築いた藤原家の繁栄。この彰子がいなければたぶん道長一代で終わっていただろう。八十七歳の生涯を終えるまでに六代もの天皇を慈愛を持って見届けてきた彰子。せめて浄土で一条天皇と幸せに暮らしていますように。

らいかさんの最近の感想、レビュー

App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう