gegetomさんの感想、レビュー
一度読み終えてから、もう一度読み直した。 この思考方法をきちんと体得しなければと感じたから。 私はまさに、美術館で絵画そのものを観る時間より、解説を読んでいる時間の方が長い人だ。 作品には正解の見方というものがあると思っていたから。 先に正解をインプットして、その後にそれを作品に照らしあわせるのが美術鑑賞だと思っていた。 作品に対する「自分なりの解釈」というものは完全にスキップしていた。 解説は正解に違いない。 でも私たちに求められるのは正解を探す力ではないらしい。 見通しのきかない世界になった現代、必要となるのは「自分なりの答えを作り出す力」だという。 本著では、この「自分なりの答えを作り出す力」を美術の鑑賞方法をテーマにアート思考として解説してくれている。実際にエクササイズをしながら進むので、実践的にアート思考を学ぶことができる。 本著の中で一番印象に残ったのは、絵画は必ずしもイメージを映しとったものではないということ。2歳の少女が描いた絵は、私がいかに凝り固まった概念の持ち主かを示してくれた。 時代は「変化の幅も速さも方向もバラバラ」に進んでいる。 これまで正解だったことは、今も正解かどうかは分からない。 「時代が変化するたびに、『新たな正解』をみつけるのはもはや不可能」である。 だから、「自分なりの答えを作り出す力」が必要になってくるのだ。 私たちはこれまでに得た概念を根本的に見直さなければならないのだ。