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チェリーネネ🍒さんの感想、レビュー

主人公、夏目と冬月は、小説でつながり、小説によって引き裂かれた。 若い才能と、嫉妬と、甘い恋に彩られた、青春純愛小説。 印象に残ったフレーズ 「私が死んだ後も、私の書いた小説は残って、そして夏目くんをここに連れてきてくれた。」 小説の良いところは、「死後」も残るということかもしれないと思った。 また、小説家というのは、言葉に物凄く精通していて、いつでも腑に落ちるような最適な言葉を選択できるものだと思っていた。 でも、夏目も冬月も、ここぞという時に口下手で、ことごとく気持ちが伝わらないのが人間らしくて良いと思った。 また、私は小説と音楽が好きなので、しばしば小説と音楽のそれぞれの良いところを検討することがある。 今までは、「小説は言葉が違うと伝わらないけれど、音楽は言語の違いを超えて感動を伝えられる」という考え方だった。 しかしこの小説で、「音楽はその一瞬だけで、二つとして同じ演奏は存在しないが、小説は半永久的に残り、何度も同じように感動することができる」ことにも気づいた。 また、自分が死んでも、愛する人に想いを伝えることもできる。冬月が書いた「ラブレターの代わりに」がそれだ。 冬月は、死にたくなかっただろうか。死んでしまって、無念だっただろうか。そう思ってもなお、やはり死んでしまいたくなるほど、小説家というのは過酷なものだろうか。何ヶ月かの時を経て、夏目がその遺志に気づいた時、1番無念に思ったと思う。 でも夏目は、冬月のことを忘れずに、きっと小説を書き続けてくれると思う。

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