くっくさんの感想、レビュー
くっく
境遇が同じだったから惹かれるのか、違っても親しくなれたのか
湊 かなえ
双葉社
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事実と真実は異なる。インターネットがこれだけ発達した社会で一度放り出されたものは瞬く間に拡散され様々な憶測が飛び交う。家族でも友達でもましてや恋人でも決してない2人が一緒にいることを世間から納得されることはないだろうが、その必要もないだろう。2人がお互いを強く求めてるそれだけで一緒にいる意味がある 小さい頃から心安らぐ場所を求めていた2人にとってそこが平穏だったというだけだ。
凪良 ゆう
私たちはずっとグラデーションの途中にいる。普通とされていたことが禁忌とされ消滅していくその狭間で人が正常であり続けることこそ異常なのか。正常とは何なのか。悍ましく感じた私のこの感情は今のこの社会から影響を受けたものでこれがいつか当たり前になってしまう日が来てもおかしくはない。
村田 沙耶香
自分の関心をちょうど突く内容だった。大切に思ってる人に触れられるのが気持ち悪いと感じてしまう人と、大切に思ってる人から愛されない人どちらも辛い。相手を心から思ってることに変わりはないのにそれが本当の愛なのか将来をどうするのか周囲からの声は当人同士の問題に深く干渉してくる。
君嶋 彼方
大切な人を亡くした人たちがどのように生きていくのか描いた物語 我が子の死は自分に非があったと責める夫婦も、交通事故で弟を亡くし運転手を許せない家族も、母親に散々振り回されてきても母を亡くし泣きじゃくる子も、何年も前に一方的に別れを告げられた相手を想うことも、大切な人というのは血の繋がりだけではない。訥々とした語りで進められていく物語があまりにも哀しく残された者たちの苦しさ寂しさが時を経て薄れることはあってもなくなることはないと感じさせる。 死んでしまったという涙と生きていたんだという涙ある
重松 清