消滅世界
村田 沙耶香
河出書房新社
作品紹介、あらすじ
セックスではなく人工授精で、子どもを産むことが定着した世界。そこでは、夫婦間の性行為は「近親相姦」とタブー視され、「両親が愛し合った末」に生まれた雨音は、母親に嫌悪を抱いていた。清潔な結婚生活を送り、夫以外のヒトやキャラクターと恋愛を重ねる雨音。だがその“正常”な日々は、夫と移住した実験都市・楽園で一変する…日本の未来を予言する傑作長篇。
感想やレビュー
気持ち悪い小説。 でもあり得る世界。 人工授精で一人でも子供を産めるようになれば、わざわざ苦しい思いをしてパートナーを探す必要はなくなるかもしれないし。 子供には将来裕福になって欲しいから、みんな同じように教育熱心になって、同じような子供が増えていったり。 何が正常で、何が異常かって分からないよな。 でもやっぱり愛する人と愛した結果生まれてきて欲しいね。
うーーーん。 世界観のつくりこみが甘い?
私たちはずっとグラデーションの途中にいる。普通とされていたことが禁忌とされ消滅していくその狭間で人が正常であり続けることこそ異常なのか。正常とは何なのか。悍ましく感じた私のこの感情は今のこの社会から影響を受けたものでこれがいつか当たり前になってしまう日が来てもおかしくはない。