チェリーネネ🍒さんの感想、レビュー
バイクで事故を起こした、キョロちゃんこと雨宮誠と相澤日菜。二人は「奇跡」を受け取り、二人で一つの命を奪い合いながら生きることになった。 しかしその命を奪う基準は、「幸福度」だ。どちらかが幸せを感じると、もう一方の命を奪う。二人は常に、お互いの感情を牽制しながら生きることになった。 印象に残ったフレーズ 「笑え、日菜。今日だけはいくら笑っても構わない。いくら喜んでも、嬉しくても、あいつの命を奪うことはないんだ。だから今日はうんと幸せになってこい」 日菜と誠は、「ライフシェアリング」を受け入れたばかりに人間として当たり前の「喜び」「笑う」権利を手放した。 嬉しい時に笑えず、常にお互いの感情に目を光らせていなくてはいけないというのは、どんな気持ちだろう。 この本は、「生きる意味」「幸せとは」というテーマに一石を投じる本だと思う。たとえ自分の命を投げ出してでも、幸せになってほしいと願える相手に、私は出会えるだろうか。 この本の中にたびたび出てくる、「雨は、死んだ人が愛する人のために流した恋の涙なのだ」という考え方が好きだ。人が死ぬのはものすごく悲しいことだけれど、そうやって考えることで、人はそれを乗り越えてきたのかな、と思う。
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