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この恋は世界でいちばん美しい雨

この恋は世界でいちばん美しい雨

宇山 佳佑

集英社

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作品紹介、あらすじ

駆け出しの建築家・誠と、カフェで働く日菜。雨がきっかけで恋に落ちた二人は、鎌倉の海辺の街で同棲中。いつか日菜に「夢の家」を建ててあげたいと願う誠だが、ある雨の日、二人は事故で瀕死の重傷を負う。“案内人”と名乗る男女の提案によって誠と日菜は二人で二十年の余命を授かり、生き返ることに。しかしそれは、愛し合う二人が互いの命を奪い合う苛酷で切ない日々のはじまりだったー。

感想やレビュー

運命できめられた死にたいして変えられないのか、誰を優先すればいいのか、読んでみて悩みながら解決する物語だと思った。

1

バイクで事故を起こした、キョロちゃんこと雨宮誠と相澤日菜。二人は「奇跡」を受け取り、二人で一つの命を奪い合いながら生きることになった。 しかしその命を奪う基準は、「幸福度」だ。どちらかが幸せを感じると、もう一方の命を奪う。二人は常に、お互いの感情を牽制しながら生きることになった。 印象に残ったフレーズ 「笑え、日菜。今日だけはいくら笑っても構わない。いくら喜んでも、嬉しくても、あいつの命を奪うことはないんだ。だから今日はうんと幸せになってこい」 日菜と誠は、「ライフシェアリング」を受け入れたばかりに人間として当たり前の「喜び」「笑う」権利を手放した。 嬉しい時に笑えず、常にお互いの感情に目を光らせていなくてはいけないというのは、どんな気持ちだろう。 この本は、「生きる意味」「幸せとは」というテーマに一石を投じる本だと思う。たとえ自分の命を投げ出してでも、幸せになってほしいと願える相手に、私は出会えるだろうか。 この本の中にたびたび出てくる、「雨は、死んだ人が愛する人のために流した恋の涙なのだ」という考え方が好きだ。人が死ぬのはものすごく悲しいことだけれど、そうやって考えることで、人はそれを乗り越えてきたのかな、と思う。

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