人の悩みはすべて人間関係に起因している。人にどう思われるかという思考はいわば他人からの評価を強制している自己中心的な考え方であり、他人がどう考えるか、どう行動するかは自分が影響できることでないので割り切ることが必要不可欠。幸せとは自分が他人の役に立っていることを実感することであるが、他人に必要性を感じさせることを強いることはできない(させる必要もない)ので、自分の中で他人貢献を完結させて実感することが必要。アドラー心理学に基づく生き方が出来れば他人からの評価に怯えることなく他人貢献を感じ、幸せに生きられると思うが、実践することがかなり難しい。生きてきた年数の半分の年数がかかると言われているのも納得できる。この考えに背かぬように生きることで、世界はフィルターを通したように輝き、今この瞬間から幸せになれると理解した。哲人と青年の対話方式でアドラー心理学について討論する構成も、哲学・心理学的な学問テイストな内容に反して人間らしさを感じられて読みやすかったのではないだろうか。人間関係に悩むことがあれば何度でも読みなおしたい一冊。