chiiiさんの感想、レビュー
chiii
西加奈子さんが書評を書いていたから読んでみた。 短編がそれぞれつながりをもっていた。話の内容はなぜか残らない。若い大学生たちの話だからだろうか、、、。
朝井 リョウ
幻冬舎
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「ものすごーく好きになれる相手って、実はあんまりいないもんだよね。出会いなんていくらでもある、と言うひともいるけど、すごく気の合う相手も好きになれる相手も限られてる。ほんとうに一生に一度、現れるかどうかだよ。」 友達も恋人もそうだと思った。 「家族って会社みたいなもの。会社って、ひとつのもくてきのために、いろんな人が集まるでしょ。みんなでそのひとつの目的を達成するために、力を合わせるでしょ。血がつながってたってさ、他人だよ。親子になるのだって、きょうだいになるんだって、偶然だよ。面接や試験で集まった人間の集合体と、たいして変わんないよ。気が合わないやつも、虫が好かないやつもいっぱいいるけど、協力しなきゃいけない。仕事だからさ。目的はそりゃ、『生きていく』ことだよ。生きていくって、言うほど簡単なことじゃないよ。ただ息をして、食事をして寝て、働いて、ただそれだけやり通すのはおおごとなんだから。生きていくのは大事業だよ。その事業が継続できるならさ、どんな編成だっていいんだよ。お母さんが3人いたって、夫婦ふたりだけだって、子どもが二十人いたって、全員に血の繋がりがなくなって、うまくいってるんならいいと思うんだよ。もちろん、ひとりだってさ。」 「お父さんは退社した。わたしは独立した。でももとの会社もつながっている。新たな会社は慣れないことばかりで大変だし、新規採用はまだまだ教えることがたくさん。たしかに、生きていくのは大ごとかもしれない!力を合わせないとね。」 「ひとがひとりいなくなりということは、ひとつの物語が消滅するということだ。」→こういう表現が寺地さんぽくていいな、と思う。
寺地 はるな
かわいいは私を元気にするもの。 明日、降水確率が五十パーセントとするで。あんたはキヨが心配やから、傘を持っていきなさいって言う。そこから先は、あの子の問題。無視して雨に濡れて、風邪ひいてもそれは、あの子の人生。今後風邪を引かないためにどうしたらいいか考えるかもしれへんし、もしかしたら雨に濡れるのも、けっこう気持ちええかもよ。あんたの言う通り傘持っていっても晴れる可能性もあるし。あの子には失敗する権利がある。雨に濡れる自由がある。・・・ところで、あんたの人生は、失敗やったのかしら? 好きって大切。 そんなふうに思う本。淀まず流れていく綺麗な本。
瀬尾さんの本は本当に心に優しい。そして淡々と繰り広げられるふたりの会話は前に読んだ「ぼくらのごはんは明日で待ってる」のふたりに似ていて、くすっとしてしまう。登場人物がすき。これは本を読むときに大切なことだなぁって最近思う。夜明けに読み終えたのもなんか嬉しい。
瀬尾 まいこ
装丁に惹かれた。町田そのこさんの本にハマっていたけど珍しくあまり惹きつけられなかった。 たくさんの言葉の中でかえさんの言葉が残った。 大事なひとが笑っている、それだけでいい。近くにいるとか、触れていられるとか、望み過ぎだと思えばいい。豊かな時間を過ごしたなら、幸福を共有したのなら、それだけで奇跡なの。その時間に縋れば、もっともっとと望めば、その瞬間の輝きすらもくすんでしまう。だから、その時間を芯として生きるの。そうするとね、強くなれる。 芯はね、自分の力で集めて作るものよ。思い出や、自信。 まっすぐに生きてきたひとは、いつか愛される。まっすぐに誰かを求めたひとは、いつかまっすぐに求められる。背中を、追ってくれるひとが現れる。
町田そのこ