水を縫う
寺地 はるな
集英社
作品紹介、あらすじ
「男なのに」刺繍が好きな弟の清澄。「女なのに」かわいいものが苦手な姉の水青。「愛情豊かな母親」になれなかったさつ子。「まっとうな父親」になれなかった全と、その友人・黒田。「いいお嫁さん」になるよう育てられた祖母・文枝。普通の人なんていない。普通の家族なんてない。世の中の“普通”を踏み越えていく、6人の家族の物語。
感想やレビュー
それぞれの心情がわかっておもしろかった。息子は母に対して、母は息子に対して、思いやりで言ってることが違うように伝わってしまってて、、難しいねー おばあちゃん、良い人で好き! あと、好きなことを貫くことって素敵と思った。そしてそんな貫けることに出会えることもうらやましかった。 少しほろっと泣ける良い本でした!
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かわいいは私を元気にするもの。 明日、降水確率が五十パーセントとするで。あんたはキヨが心配やから、傘を持っていきなさいって言う。そこから先は、あの子の問題。無視して雨に濡れて、風邪ひいてもそれは、あの子の人生。今後風邪を引かないためにどうしたらいいか考えるかもしれへんし、もしかしたら雨に濡れるのも、けっこう気持ちええかもよ。あんたの言う通り傘持っていっても晴れる可能性もあるし。あの子には失敗する権利がある。雨に濡れる自由がある。・・・ところで、あんたの人生は、失敗やったのかしら? 好きって大切。 そんなふうに思う本。淀まず流れていく綺麗な本。
ラストは予想通り。私はさつ子。