女の子が偶然正体の分からない「くろいの」と出会ってしまうお話。てっきりそのまま神隠しに逢ってしまうのではないかとヒヤヒヤしながら読み進めたがちゃんと無事に戻ってこれて安心した。くろいのの暖かさに包まれて女の子が思い出した「お母さん」は文脈的におそらくもう生きてはいないのだろう。女の子はお父さんにこのちょっとした大冒険のことをどう話したのだろうか。彼女の明るい表情からは父親に自分が経験した楽しいことを伝えたい!!という興奮が読み取れて微笑ましい。ゆるやかで綺麗な絵柄と想像力を掻き立てられるストーリーの余韻が気持ちいい物語である。