くろいの
田中清代
偕成社
作品紹介、あらすじ
ねえ、なにしてるの?おもいきってこえをかけたら、コトコトコトッとおりてきて、とことことこっとあるきだした。陽だまりの縁側、押し入れの暗闇、草花のにおいや、ふかふかな生きものの毛なみ…細やかな銅版画で愛情をこめて描いたあたたかな世界。3歳から。
感想やレビュー
女の子が偶然正体の分からない「くろいの」と出会ってしまうお話。てっきりそのまま神隠しに逢ってしまうのではないかとヒヤヒヤしながら読み進めたがちゃんと無事に戻ってこれて安心した。くろいのの暖かさに包まれて女の子が思い出した「お母さん」は文脈的におそらくもう生きてはいないのだろう。女の子はお父さんにこのちょっとした大冒険のことをどう話したのだろうか。彼女の明るい表情からは父親に自分が経験した楽しいことを伝えたい!!という興奮が読み取れて微笑ましい。ゆるやかで綺麗な絵柄と想像力を掻き立てられるストーリーの余韻が気持ちいい物語である。
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