ぺろりさんの感想、レビュー
ぺろり
現実にはあるはずのない、でも少し有り得そうなお話が3個収録されている短編集。 それぞれのお話が、心があたたかくなる効果をもっている。
瀬尾まいこ
双葉社
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樺太のアイヌや、植民地にされたポーランドで生まれた、故郷が二つある二人のW主人公の話。 史実に基づいたフィクションなので、1900年前後の歴史に詳しい人はより楽しめると思う。戦争の勝ち負けや植民地支配など、教科書で文字面だけ知っていることでも、そこに住んでいる人々の暮らしやアイデンティティについては考えてこなかったから、その類の心情描写があると心が痛んだ。 読み物としては、耳慣れない現地の地名などが出てくるので時間はかかったが、場面や時間軸が変わっても登場人物同士の繋がりが感じられて熱かった。
川越 宗一
なるほどなあと思った。 無理して居心地の悪いグループにいるより1人でいる、ということに抵抗がなくなるかも。
鴻上 尚史
とても興味深かった。 言葉というものはデジタルであり、多くの要素を捨てているから不完全で。言葉を受け取った側はその行間を好きなだけ埋めてしまえるから、言葉を発した側の意図が100%伝わることはない、というのがなるほど感じた。 人と話す時も、SNSで発信する際も、言葉にしている時点で自分の思考が完全には相手に伝わらないことを意識していきたいと思えた。
京極 夏彦
読みにくいけど、「」がなくて誰がしゃべったのか考えなきゃいけないけど、展開が面白くてはやく読みたいと思える本だった。 現実に起こり得ないことのに、「そうなるだろうな」と想像できることを緻密に書いていて素晴らしい。
ジョゼー・サラマーゴ/雨沢泰