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まるやまさんの感想、レビュー

文学的表現に欠ける文章だが、ストーリーに目を離させないような魅力がある。これが是枝監督といったところか。冒頭では仕事人間で勝ち気で、子供2人共を引き取ればいいといった嫌な思考をする人間だという良多の印象だったが、取り違えにまつわる環境変化で、育ての母に関しての思いや家族の在り方についての考えが変わりゆく良多は、その人間臭さから親しみやすく、このストーリーを受け入れやすくなる重要な存在だったと思う。最後には皆で暮らすという打開策をその明解な頭で思考するという終わり方も、まとまりの良い綺麗なハッピーエンドなのではないだろうか。美しすぎるまとめ方ではあったが、原作が映画作品であるならば文学的表現を必要としないという点で納得できる。良多、みどり、慶多、雄大、ゆかり、琉晴。それぞれの経験と心情が適宜一人称視点で描かれて事実に基づいて物語が進展するところが映画の台本ような文章であるにもかかわらず、涙を誘う完璧なストーリーだった。

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