くっくさんの感想、レビュー
家族の誰もが自分を置き去りにした痛ましいほどの孤独感を、ようやく払拭してくれると信じたテイトにも裏切られ、生まれたときから周囲の好奇や偏見の目にさらされ続けたカイアの境遇には、単に不幸や不運という言葉では表しきれない幾度もの絶望が垣間見える。そんな環境でも自然だけはいつもカイアをそのまま受け入れいつでもそこに在ることがカイアにとっての唯一の救いであり、仲間、家族といったものと同等かそれ以上の繋がりだったのであろう。チェイスの事件は自然界で当然の報いか、カイアの人間らしさの表れか、どう受け止めるべきか答えに窮するが、全貌や真実の知れないものなど無数に存在しているのが自然なのだ。