ゆきかぜさんの感想、レビュー
ゆきかぜ
村上春樹版の『長いお別れ』 こちらも大好きな本です。 とりあえず解説を堪能して、清水俊二訳と比較するといった楽しみもありますよね。 装丁のデザインは、なぜこんなにも簡素なのでしょう。
レーモンド・チャンドラー/村上春樹
早川書房
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面白かったなぁ。 相変わらず気の利いた会話も格別強い印象のキャラクターもいないのですが読み進めてしまう。 しかも、何が気になるのかも分からず読み進めてしまう。盗まれた金の小箱はすぐに見つかるし、不安定なニックにも特に興味はもてないし、序盤に殺されたチンピラは全然存在感がない。おまけに話は複雑で入り組んでいて、わかりづらい。 ただ、一気にラストまで持っていく展開力が不思議にストーリーにはある。 読み進めていくうちに、トラットウェル家とチャーマーズ家の過去の秘密が少しずつ見えてきて…。 リュウ・アーチャーと一緒に寄り添って過去を辿り、人間を見つめていく。 裏にある人の哀しさに触れることがとても魅力的な作品です。
ロス・マクドナルド/菊池光
ウィリアム・アイリッシュの未読であったこの本を読みました。コーネル・ウールリッチ名義で書かれています。 サスペンス風のストーリーはすごく良いと思います。 ただ、ここのところチャンドラー、ロス・マクドナルドといった味のある文章に触れていたので、どうしても文章が少し軽くみえてしまう。 また、登場人物も掘り下げて書かれてはいないので。 個人的にはロス・マクドナルドにリメイクしてもらいたい一作。 散々に書きましたが復讐劇ものとしてはとても良いドラマ だと思います。ジャケットもとても素敵です。
コ-ネル・ウ-ルリッチ/伊藤佐喜雄
ハードボイルド御三家、ロス・マクドナルドの名著。 10年近く前に読んだ本を読み直してみました。 チャンドラーに比べたら、キャラクターの魅力も低く、気の利いた会話もないのですが、不思議と読み進めてしまう。 ジャンル的には、ハードボイルドといった感もなく、どちらかと言えばサスペンス的な味わいがあります。 特にラスト100ページの展開力は圧倒的です。 それにしてもどうして男女の愛はこう人を哀しくさせるのでしょうね。
ロス・マクドナルド/小笠原豊樹
個人的には、チャンドラーの長編小説の中で一番プロットのわかりずらい本だと思います。それでも、マーロウ物の魅力が薄れるわけでなく。 登場人物はみな個性的で生き生きとしていて、読んでいて飽きません。特に女性陣。オファメイクエストの曲者感はひしひし伝わってくるし、映画女優2人の強烈さも印象に残っています。 そして、マーロウのやさぐれ感は格別ですね。 何度か読み直して、ちゃんとミステリーとしてあらすじを時系列に沿って理解したい作品です。 「誰かの夢が失われたようだね」そして身を屈め彼女の目を閉じてやった… なんて締めの一文、本当に胸にきます。
レイモンド・チャンドラー/村上春樹