カンタン酢さんの感想、レビュー
カンタン酢
天涯孤独になった主人公が、商店街で出会った人達と繋がっていく様と心模様を感じれる本。たまたま出会った惣菜屋さんのコロッケ、その時のコロッケの美味しさを想像しただけで食べたくなる。人間味溢れる本。
小野寺史宜
祥伝社
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鯨が出す音のヘルツは決まっていて、大体が30くらいであるらしい。例外にも高音しか出せない鯨が存在し、孤高の鯨と呼ばれている。その鯨の思いは誰かに届くのか。本当に孤独かはわからない。家族から虐げられ育ったきなこを巡って登場する人物それぞれが、きなこのヘルツを受け取り手を差し伸べる。又転居先で偶然出会ったムシ(いとし)なる男の子との関わりの中で今度は自分がヘルツを受け取る側になるというきなこの心模様に引き込まれる。
町田そのこ
死んだものが残すといわれている最後の思いの玉。大切な人の最後の思いを知りたいと願い、ぎょらんなるものを探す。それは憎しみであったり、励ましであったり、愛する言葉だったり。その思いが故に呪縛として現実を生きることが出来なくなってしまうこともある。ただそれは死者が生み出したものではなく、生者が作り出した創造物であり願いである。
町田 そのこ
誰にも言えない後悔を抱える一香と幼少期の辛い経験を抱える調香師の朔。雇用関係として出会った2人だけど、少しずつ心の距離が近くなり、それぞれの過去と向き合うことになる。ひとつひとつのエピソードには香りを伴い、登場する食べ物や飲み物にも香りを感じる。香りは永遠に脳に刻まれる。それを引き出すきっかけさえあれば。
千早 茜