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まるやまさんの感想、レビュー

事故により80分しか記憶がもたない博士と、その家政婦として働く私とその息子ルートの温かくて寂しいお話。前日の記憶はなくなり、毎日が初対面の私とルートに対して、数学を通して美しい繋がりを見出す数学への憧憬と、またルートと私に対する分け隔てない博士の接し方には、記憶がなくなるからこそ人間本来の慈しみに溢れているように思う。毎朝記憶障害の事実を自分のメモで知る博士の悲しみと、その生活や身なりを気にしない博士に対する他人の接し方を読み進めていくことで、私たちが当たり前に思って生きていることへの懐疑を感じずにはいられない。起承転結が大きくあるわけでないのに、深く印象に残るストーリーだった。

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