まるやまさんの感想、レビュー
まるやま
女性セブンに連載されたエッセイ集。字も大きく、若者に宛てた文ではなかったのかもしれない。内容は「最近の若いもんは…」であったり「私らの若い頃は…」的な部分が多かったが、表現がユニークで面白く、最後まで飽きずに楽しめた。
佐藤 愛子
小学館
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とんでもなく身なりに無頓着な人ならこの本で勉強になるのかもしれないが、少なくとも大多数の人は自分の着たい服は今までの人生で自論を携えているだろうし、コーディネートをこんな風に勉強する必要がある人がいるのであろうことに衝撃。クローゼットに、普段着ていないが捨てられない服がある場合は収納すべきというハックと、照明の暗い場所に例えばディナーへいく場合は、明るい色のトップスを着ると肌が明るく見えることを学んだ。肝心のクローゼットの法則は数ページ。タイトル詐欺極まりない。
リベラル社
文学的表現に欠ける文章だが、ストーリーに目を離させないような魅力がある。これが是枝監督といったところか。冒頭では仕事人間で勝ち気で、子供2人共を引き取ればいいといった嫌な思考をする人間だという良多の印象だったが、取り違えにまつわる環境変化で、育ての母に関しての思いや家族の在り方についての考えが変わりゆく良多は、その人間臭さから親しみやすく、このストーリーを受け入れやすくなる重要な存在だったと思う。最後には皆で暮らすという打開策をその明解な頭で思考するという終わり方も、まとまりの良い綺麗なハッピーエンドなのではないだろうか。美しすぎるまとめ方ではあったが、原作が映画作品であるならば文学的表現を必要としないという点で納得できる。良多、みどり、慶多、雄大、ゆかり、琉晴。それぞれの経験と心情が適宜一人称視点で描かれて事実に基づいて物語が進展するところが映画の台本ような文章であるにもかかわらず、涙を誘う完璧なストーリーだった。
是枝裕和/佐野晶
明日の光が見えないほどの絶望感に満ちた冒頭は、読んでいるだけで落ち込んでしまうような臨場感と現実感、表現力であった。母に捨てられたことを恨みながら生きていた千鶴は、自分の不幸を全て母のせいにする未熟で浅慮な人間であったが、若年性アルツハイマーを患う母を取り巻く恵真、彩子さん、その娘美保、医師の結城と生活をともにすることで、人間らしく意地汚く成長する様は、猛烈に引き込まれる魅力のある文章であった。彼女らもそれぞれに自分なりの問題を抱えており、母の病気と向き合いながらそれを克服していく様子は、最終的にはすっきりできる起承転結だったと思う。母と千鶴の関係値や他の登場人物の抱える心の問題も、かなり良好に描かれており、明るく希望的な終わりを迎えられてすっきりとまとめられていた。
町田 そのこ