燕は戻ってこない
桐野 夏生
集英社
作品紹介、あらすじ
北海道での介護職を辞し憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極め、未知の「生殖医療ビジネス」に誘われる29歳女性・リキ。バレエ界の「サラブレッド」としてキャリアを積み、自らの遺伝子を受け継ぐ子の誕生を熱望する43歳男性・基。その妻で、不育症と卵子の老化により妊娠を諦めざるを得ず、「代理母出産」という選択をやむなく受け入れる44歳女性・悠子。それぞれのままならぬ現実と欲望が錯綜する、ノンストップ・ディストピア小説!
感想やレビュー
大石理紀(リキ)は、余りの貧困で、お金の為に代理母出産で、男女の双子を出産。帝王切開でのとても辛い出産のなかで、沢山人の心と子供達の事を思い、新たな第一歩を踏み出していく。
代理母の話です。 同じ女性としてすごく考えさせられる作品でした…。 1,000万は確かに高額だけれど、出産をした身として1,000万円で代理母ができるかと言われたらできないです…。 貧困の搾取でもあり、個人的には反対です。 ゆうこの気持ちもりきの気持ちもないがしろにされていて気分が悪いです。 二人ともコロコロ意見が変わってイライラしながら読むところもありましたが、そりゃ簡単に心の整理なんてつかないよなぁ… 双子だった、というところできっと一人は連れ去るんだろうなぁ…と予想。 どう収束させるんだろう?!と思っていたのでしっくりくる終わり方でした。
吉川英治文学賞作品。内容は衝撃的だが、何故かスッキリしない。代理母に対して問題提起していて、いろいろ考えさせられる。文章も露骨な部分があり、ビックリさせられる。最後の結末もいきなりで、何か中途半端で終わった感じ。
人の心がどうなるか分からないところがリアルだった。普通の人が普通の感情や欲望を持っている。ままならない人生のリアルが描かれていて、面白かった。