「母性」って何だろうと考えさせられる作品。
ルミ子にひとつだけ共感できるとするならば、
自分にとって母親の存在は大きいということ。
やはり、母は偉大で安心することができる。
こういう子に育って欲しい…とか
あの子はいい子なのにうちの子は…とか
理想と現実が思うようにいかないように、
子育てにおいても同じことがいえると思う。
ルミ子の場合、母に愛情たっぷりに育てられ
いい子に育ったのだから、我が子(清佳)も
同じように育つだろうと過信するあまり段々と娘が可愛く思えない存在になってしまった。
全てはルミ子を愛するただひとりの母のため。
それしか頭にないルミ子は、母親の愛情に洗脳されていたため自分では気づくことができないほど結婚も出産も何もかもが間違って、本当の自分を見失ってしまった。
それでも、清佳にとってルミ子はたったひとりの母親であるからこそどんな仕打ちをされても決して犯罪者(悪者)にしなかった。
この世の中に、愛されて育つ子もいれば
そうでない子もいる。100人いれば100通りの
母親がいる。育て方も育つ環境も人それぞれ。
幼児期は特に人格形成において最も大事や時期だからこそ、そういう意味では子育てである程度その子の人物を作ってしまっているのではないかと思うと、何だか怖くなった。
清佳のお腹には新しい命が宿りどんなお母さんになるのだろうか想像してしまう。
私は、お母さんもお母さんから産まれる子も
両方幸せじゃないとそこから育まれる母性は
誕生しないと思う。
この作品は、母性への印象がガラッと変わり、言葉からは想像できないお話だった。