ふくわらい
西加奈子
朝日新聞出版
作品紹介、あらすじ
暗闇での福笑いを唯一の趣味とする編集者の鳴木戸定。愛情も友情も知らず不器用に生きる彼女は、愛を語る盲目の男性や、必死に自分を表現するレスラーとの触れ合いの中で、自分を包み込む愛すべき世界に気づいていく。第1回河合隼雄物語賞受賞作。
感想やレビュー
途中までは変な内容だな〜と思って辞めようと思ったりしてたけど後半、すごく引き込まれた。怪しい盲目男武智が実は本当に定のことを見ていたこと。美人な小暮さんが実はとても正直に話せる友達になったこと、守口廃尊の不思議な存在感。包まれてしまった。
自分とは全く違う世界を視る住人と物語を共にした時の独特の感情。これが小説を読む醍醐味。始めから終わりまで存分に味わった。主人公よ特性が守口、悦子、小暮、父親といったピース達に彩られてこんなにも美しく世界の断片を活写するとは。