日日是好日
森下 典子
新潮社
作品紹介、あらすじ
お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる…季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。
感想やレビュー
******************** 心に響いたフレーズ ******************** 勉強とは、 教えられた答えを出すことでも、 優劣を競争することでもなく、 自分で一つ一つ気づきながら、答えをつかみとること。 自分の方法で、あるがままの自分の成長の道を作ること。 ******************** 読み終えてもまだ 著者が伝えたいこと全てを、汲み取れていないと思う。 茶道の世界はとても奥深い。 かっちり型の決まった茶道。 稽古を繰り返すことで お作法を体に染み込ませる。 考えて覚えることはNG。 なんて窮屈なんだ。 けれど 作法が体に馴染んだ時、 どうやらそこで思考の自由を得るらしい。 この本の中にもでてきた『自分の答え』。 日本の長い歴史の中で、 多くを語らないことが日本人の美だと言われているけど その本当の意味は 自分の気持ちを多く語らないことで、 相手の気持ちを尊重するということだったのかもしれない でも、言語化することが良とされる現代 自分とは異なった他人の感情や考えを知るようになり 対立がおきたり、逆に同調がおきたりするようになった。 そこで求められるようになった多様性の受容。 人間は同じところをめぐり巡っている気がする。
何度読んでも心に染みる。またいつか読み返したい。