パンデミックの文明論
ヤマザキマリ/中野 信子
文藝春秋
作品紹介、あらすじ
新型コロナの話で意気投合した、異色の二人が緊急対談。各国の感染症対策を見れば国民性がわかる。徹底して根絶を目指す欧米に対して、アジアはほどほどに共存しようとする。話題は古代ローマから現代まで時空を超えて、目からウロコの文明論が展開される。
感想やレビュー
面白かったし、なんだか痛快だった。 実は中野氏の著書を読んだことがあって、それはなんだかなあと思わずにいられなかったので、今回の対談本は期待をいい意味で裏切ってもらった。 違う分野で極みを目指す人と言うのが掛け合わさるとこんなにも話題が拡がっていくのか、と驚いたし、それまで周囲と馴染めずにただ自分が求める領域に潜っていくしかなかった、という経験が共通するというのもなんだか頷ける。こういった人たちに憧れを抱かずにいられないのは、自分が何者でもなく(そう感じていて)、自分の中の芯というものを未だに探し続けているからかもしれない。また彼女たちを素敵だと思うことに、自分の意見を表明することに大きな葛藤を抱いてないことだけでなく、誰かを面罵しているわけではないということだ。前向きにコミカルに、でもロジカルに話を進めていこうとするその姿勢に憧れる。 思った以上にいい本だった。手元においておきたい。