翼の翼
朝比奈あすか
光文社
作品紹介、あらすじ
専業主婦、有泉円佳の息子、翼は、小学二年生。興味本位で進学塾の全国テストを受け、中学受験に挑戦することになる。最大手の進学塾「エイチ」に入った翼は、男子四天王といわれる難関校を狙う。中高一貫校を受験した経験のある夫真治と、それを導いた義父母。中学受験にまったく縁のなかった円佳が、塾に、ライバルに、保護者たちに振り回され、世間の噂に、家族に、そして自分自身のプライドに絡め取られていくー。過熱する親の心情を余すところなく描いた、凄まじき家族小説。
感想やレビュー
自分のことかと思った 我が家のことかと思った 崩れていくさまがうちの子とかと思った 決定的なある日から始まるんじゃなく、 だんだん波が強くなって 砂の壁の土台が少しずつ削られて そして大きく決壊する そのさなかのときは 必死で、 傍からみたらきっと滑稽で。
1
中学受験の本。6年生のところは胸が痛くなる。
女性の内側にこもるほの暗い部分を書くと、本当にうまい作家さんだと思う。 主人公の母親は、生まれや育ちで人を差別することに嫌悪感を抱く一方で、学業、運動両面で優れた息子が、貧困世帯の子供たちと同じ公立中学に進む事実を知ると、激しく動揺したりする。 若干デフォルメされた感はあるが、しかし、このような思いを持った覚えのある女性は、結構いるのではないか。 心理描写が上手い分、物語自体が、やや尻すぼみになってしまったのは残念。 主人公の息子の翼くんについては、後半はただただ気の毒である。
20)麻紀子の中学受験、私は熱くはならなかった。