ニックネームが設定されていませんさんの感想、レビュー
ニックネームが設定されていません
泣かされた。毎話。 突如この世を去ることになり、未練を残して成仏できない魂を体に降ろして、それぞれの大切な人に思いを食を通じて伝えていく人情噺。
中村颯希
双葉社
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推理小説を読むのは初めてで、帯の「最後に予想外のどんでん返しが!」という煽りを見て、読者をそのトリックでどれだけ翻弄してくれるのか!と期待して読了してみれば、推理小説ではなくサスペンス小説でござった。 推理要素はほぼなく、基本的に後出し情報で物事が進展していく。 黒幕もよくある、良い奴ぶってた奴が悪かったオチ。それも大それた計画も悪事もなく、本当にタダの小悪党。 行き当たりで保身に走ってるだけの人。 もちろん意外感も全くなく、コイツだろうなーと思ってたらコイツだった。 ラストを期待して読み始めただけにそこの不完全燃焼感は否めない。 それでも最後まで読めたのは、サスペンス小説としての面白さは確かにあったから。 冤罪事件をモチーフにした話だが、それに関わる警察組織の隠蔽体質だとか、冤罪被害者遺族の悲痛な声とか、冤罪をでっち上げてしまった当刑事の懊悩とか、小説で感じたことがあまりない生々しさがあった。 冤罪を作ってしまった主人公の刑事が、その罪と一生向き合いながら、二度と同じ過ちを起こすまいと邁進して、数十年が経ち、辣腕の刑事になってからの安心感はヒーロー物に通ずるものがあり、ちんけな警察官を切って捨てる様には爽快感もあった。 総評としてはサスペンス好きには刺さるんじゃないだろうかと言ったところ。 刺激を求めている人には薦めない。 ☆4
中山 七里
複数の人物の視点から描かれる、とある高校生カップルに纏(まつ)わるお話とその後日談。 複数の視点から描かれる女子高生は完璧人間で、なんでもそつなくこなす。それは身近な家族ですらそう思ってる。 でも女の子の視点では、それは一部演出されているもので、その子の本質ではあるけれどあえて弱いところを見せずに隠していることが分かったり どんなに近い家族でも、友達でも人を完璧に理解することなんて出来ないという当然を実感。 描写力が卓越していて、読んでいて映画のフィルムが脳内で勝手に再生されているようだった。 あとがきで本書はスピンオフの後日談ということが発覚。 道理で、肝心の高校生のシーン数が少ないと思った笑 オリジナル作品の存在を知った訳だが、しかし、本書中で当然ながらある程度のネタバレを食らっているので、いつかは読みたいがすぐに読まずともよいかな。w
汐見夏衛