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八月の六日間

八月の六日間

北村薫

KADOKAWA

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作品紹介、あらすじ

40歳目前、文芸誌の副編集長をしている“わたし”。ひたむきに仕事をしてきたが、生来の負けず嫌いと不器用さゆえか、心を擦り減らすことも多い。一緒に住んでいた男とは、3年前に別れた。そんな人生の不調が重なったときに、わたしの心を開いてくれるものー山歩きと出逢った。四季折々の山の美しさ、怖ろしさ。様々な人との一期一会。いくつもの偶然の巡り合いを経て、心は次第にほどけていく。だが少しずつ、けれど確実に自分を取り巻く環境が変化していくなかで、わたしは思いもよらない報せを耳にして…。生きづらい世の中を生きる全ての人に贈る“働く山女子”小説!

感想やレビュー

中々楽しめた。北村薫の本だから外れるなんて思ってなかったけど。 読み終わると、ああそうこの静かな文体が北村薫だなあと感慨深かった。中学生時代にスキップなどを読んだことを懐かしく思う。水面のような静かさで波紋が広がっていくような文体はとても穏やかで気持ちがいい。 主人公は40代になろうかという独身の女性。この年齢がなんともいい。華々しくもないが人生達観するにはまだまだ早すぎる。女性にとっては、時に想像する未来、もしくは過去の自分だ。 人生の大部分は大きな出来事で大きく何かが変わるわけではない。ただ毎日の繰り返しが続いていく。その中で、少しずつ疲れたり、何年も前に抱えた古傷が時折痛んだりする。人間は誰しも何かが欠けている。欠けている隙間を人は埋めたがる。その隙間を埋めたものでまたその人が彩られていく。 それを垣間見させてくれる小説だった。

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