伊藤くんA to E
柚木麻子
幻冬舎
作品紹介、あらすじ
伊藤に長い間片思いするが、粗末に扱われ続けるデパート勤務の美人。伊藤からストーカーまがいの好意を持たれる、バイトに身の入らないフリーター。伊藤の童貞を奪う、男を切らしたことのないデパ地下ケーキ店の副店長。処女は重いと伊藤にふられ、自暴自棄になって初体験を済ませようとする大学職員。伊藤が熱心に通いつめる勉強会を開く、すでに売れなくなった33歳の脚本家。こんな男のどこがいいのか。5人の女性を振り回す、伊藤誠二郎。顔はいいが、自意識過剰、無神経すぎる男に彼女たちが抱いてしまう恋心、苛立ち、嫉妬、執着、優越感。ほろ苦く痛がゆい著者会心の成長小説。
感想やレビュー
なんとも言えない痛いダメ男とそれに関わる5人の女性。なんとなく、ここまで痛い男を作り上げたのは周りの女性たちで、振り回されながらも女性たちは強く生きていくきっかけを掴んでいっているような気がして。 ここまで残念なヒーローの本は初めてかも。すっきり明確に幸せを掴んだり、恋愛が成就した様子は描かれない。だけど伊藤くんと関わった女性たちは皆、人生を好転させていくことができるんじゃないかと希望がみえる。
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