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記憶屋III

記憶屋III

織守きょうや

KADOKAWA

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作品紹介、あらすじ

高校生の夏生が、4年前に巻き込まれた集団記憶喪失事件。「記憶屋」の関与を疑う新聞記者の猪瀬に頼まれ、夏生は記憶屋探しに協力していた。だが、手掛かりとして接触した料理人の男性の記憶が消えてしまい、猪瀬は夏生の親友・芽衣子への疑いを強めることに。夏生はこれ以上記憶屋に近づきたくないと訴えるが、その矢先に猪瀬と一緒にいるのを芽衣子に見られてしまい…。記憶屋をめぐる、衝撃の真実がついに明かされる。

感想やレビュー

2巻の続き。芽衣子がますます疑われ、夏生も、記憶屋と関わりたくないと思い始める。 印象に残ったフレーズ 「とりかえしのつかない間違いを犯して、相手にそれを忘れてほしい。一人の記憶をほんの少し消すだけでいい。それだけでやりなおしができるのに。そういう状況で、自分にそうできる能力があったら-誰にも知られずに、そうすることができるとしたら。 その誘惑に抗って、正義を貫けるなんて、嘘でも言えなかった」 「助けられる相手を助けてあげることが、悪いことだとは思わない」 夏生が、記憶屋について考えるシーン。 「記憶屋だって人間だ」という猪瀬の意見に、「確かに記憶屋も間違うことはある」という気持ちと、「それでも、人助けは悪いことではない」という本心とが葛藤する場面だ。 本当に複雑だと、共感した。 猪瀬の意見も、夏生の気持ちも分かる。 だけれど、やはり記憶屋の存在は、本来「異物」だ。後悔しても、自分で受け止めて、時に人に相談して、きちんと前に進まなければならない。だから、記憶を消す、という方法は存在してはならないのだ。 それでも、誰かが誰かの「心の拠り所」にならなければならない。でないと、きっと受け止めきれなくなってしまう。 誰だってそうだ。「記憶屋」という無茶な超能力に頼るのではなく、人間として、人間らしい方法で、一歩一歩解決していくのが大切だと思う。

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