科学の扉をノックする
小川洋子(小説家)
集英社
感想やレビュー
小川洋子氏が、科学者の先生方に感動したように、こういった科学を文学で繋ぐ人がいるのかと感嘆した。少女のような伸びやかな感性から描かれる科学の描写は、美しく、科学とはこんなにも素敵なものだったのかと思わずにいられない。 家庭の医学を好んで読んでいたという話では、わたしには気持ち悪くて読めないだろうなと思たっときに、わたしは誰にその感性をもらったのだろう?と疑問に思った。まっさらな感性で見たとき、本当に気持ち悪いと思うだろうか。もちろん思うかもしれないが、どうにも「そんなものは気持ち悪いから読むのはやめなさい」と誰かから押し付けられた感性を今の今まで大事に抱えていたような気がする。 ここから、各先生方の本に食指を伸ばすのもまた一興。その名の通り、私の中の科学への好奇心をノックしてくれる、いい本だった。