夜の床屋
沢村浩輔
東京創元社
作品紹介、あらすじ
慣れない山道に迷い、無人駅での一泊を余儀なくされた大学生の佐倉と高瀬。だが深夜、高瀬は駅前の理髪店に明かりがともっていることに気がつく。好奇心に駆られた高瀬が、佐倉の制止も聞かず店の扉を開けると…。第4回ミステリーズ!新人賞受賞作の「夜の床屋」をはじめ、奇妙な事件に予想外の結末が待ち受ける全7編を収録。新鋭による不可思議でチャーミングな連作短篇集。
感想やレビュー
夜の床屋。ほのぼのとしたストーリーを期待して裏切られる。誘拐犯が悪事遂行のために即席で開いた「夜の床屋」。 本著に収められる短編は、どれもどこか浮世離れした空気を醸しながら、最後は科学的に解明され決着を見せる。不思議な雰囲気の本だな、と思って最後の短編まで読んだ時に、自分の解釈は見事に裏切られる。科学的に解決したと思われたことが、一気にすべて浮世離れした霧に包まれてしまう。読後に頭の中でもう一度最初から反芻している自分がいる。