夜が明ける
西 加奈子
新潮社
作品紹介、あらすじ
思春期から33歳になるまでの男同士の友情と成長、そして変わりゆく日々を生きる奇跡。まだ光は見えない。それでも僕たちは、夜明けを求めて歩き出す。現代日本に確実に存在する貧困、虐待、過重労働ー。「当事者でもない自分が、書いていいのか、作品にしていいのか」という葛藤を抱えながら、社会の一員として、作家のエゴとして、全力で書き尽くした渾身の作品。
感想やレビュー
なんというか 救いようがない、といった世界でもがき苦しんで立ち上がろうとしてもがき苦しんでいる。困った時は助けてって言っていい。助けられた人は今度はまた人を助けるんだろうか。アキはフィンランドに行くまでにどんな人生を送ったんだろう。「俺」は報道の世界でまたボロボロになるだろうな。誰を救う事はあるだろうか 一気に読んだ。けど疲れた。
最初のほうはアキと主人公の学生時代のことが書かれていて、主人公もアキも苦労しているけど若さのエネルギーで逞しく生きている感じがしていたのですが…大人になるにつれてどんどん苦しくなっていく展開が読んでいて辛かったです。 主人公は、苦労したけれど、ちゃんと自立して働いているのに、間違ったことなんてしていないのにどうしてこんなことになっちゃうんだろう…と…。 すごく身近にある、自分にも起こり得るような現代の闇を垣間見たような作品でした…。
今まででいちばん重い重い重い読後感。 毎朝電車で本を開くのも辛くなるくらい。 本を閉じてからも心が重くて。 でも、開かないといけない、目をそらしたままではいけない、そんな義務のような気持ちで読み終えました。西加奈子さんの作品が好きだから、話題の本だからと何も考えずに手に取るというまっさらな状態で読み始めましたが、心構えが必要だったかもしれません。 こんなに暗闇のなかにいる本は、初めてでした。
現代の憂いを書いていて深かった。でも最後はもう少し幸せになって救われてからを描いて欲しかった願望。