愛という名の支配
田嶋 陽子
新潮社
作品紹介、あらすじ
どうして私はこんなに生きづらいんだろう。母から、男から、世間から受けてきた抑圧。苦しみから解放されたくて、闘いつづけているうちに、人生の半分が終わっていた。自分がラクになるために、腹の底からしぼりだしたものーそれが“私のフェミニズム”。自らの体験を語り、この社会を覆い尽くしている“構造としての女性差別”を解き明かす。すべての女性に勇気と希望を与える先駆的名著。
感想やレビュー
著者は戦後食わせてもらう屈辱を味わい、実母から愛という名の支配を受けていたことから、フェミニズムの道を進み、母もまたこの社会構造の被害者であったと気づく。 炊事洗濯、掃除、育児介護、家業など一手に任された先人女性たちの苦悩や苦労の皺寄せが子に向かってしまった例は無数にあるんだろうなと感じた。 仮に結婚したとして、配偶者を主人とは決して呼びたくない。従属関係ではない。 この本が書かれた30年前とは異なり、昨今の風潮は女性らしさからの解放とともに、これまで求められてきた男性性への理解や解放も脚光を浴びつつある。フェミニズムは女性を優遇しろと叫んでいるのではない、男女ともに自分らしく生きれる社会を渇望しているのだ。