にぎやかな天地(上)
宮本輝
中央公論新社
作品紹介、あらすじ
船木聖司は、謎めいた老人・松葉伊志郎の依頼により、豪華限定本の編集・製作を手がけている。今回の依頼は「日本の発酵食品を後世に残すための本」である。糠漬、熟鮓、醤油、鰹節…。日本各地を取材する聖司は、微生物の偉大な営みに魅せられていく。32年前と7年前の、ある「死」が青年編集者・船木聖司に今、にぎやかな“時間”を運んでくる…。2年ぶりの最新長編小説。
感想やレビュー
初めての宮本輝。 発酵、糠漬け、鰹節。時間をかけて、手間ひま惜しまず本物をつくり、伝承していく事柄。 人生の予期せぬ事故等に、不幸のままで終わらせない。時を経て幸福への足がかりと捉える『昇華』の精神性を未来に伝えていきたい。 消費生活の歯車になりつつも、譲れないこだわりをもち過ごしてみたいと思った。