奇譚蒐集録
清水 朔
新潮社
作品紹介、あらすじ
大正三年、帝大講師・南辺田廣章と書生・山内真汐は北海道・室蘭港に降り立った。流れ歩く村ー鬼の襲撃を恐れ、アイヌに擬態し隠れ住むその村には、男女が入れ替わる奇妙な婚礼が伝承されていた。今は亡きその村の、最後の『神に聴く者』である女のもとに彼らが辿り着いたとき、過去と現在の謎が繋がり、悲しき真実が浮かび上がる。ふたりの少女の贖罪に涙する、民俗学ミステリ。
感想やレビュー
「奇譚蒐集録」読了。 清水朔さん2作目。 前回は沖縄の方だったが 今回は北海道。南から北へ。 北海道といえばアイヌ。 今回のテーマはアイヌ民族をテーマにしたお話。 前作同様、やはり最初の方が とっつきにくい印象なのだが 中盤から後半にかけて 物語が動き出すと面白い。 どちらかというと前作よりこっちの方が好きかな。 廣章と真汐の過去の出会いと、 現在の関係性、真汐の心情を揺さぶる人物の登場。 それによって2人の関係性が深まるのもいい感じ。 そして物語全体を覆う悲哀。 どうして人は異なるものを拒否するのだろうか。 異なるってだけなのに。 しかしやはり民俗学はいいなあ。 人生が何遍でもやれるのなら 民俗学の道を行くのもありかもしれない。