凍える牙
乃南アサ
新潮社
作品紹介、あらすじ
深夜のファミリーレストランで突如、男の体から炎が噴き出した。その数日後、天王洲では無残に咬み殺された死体が発見される。二つの異常な事件に繋がりはあるのかー。捜査を開始した警視庁機動捜査隊・音道貴子と相棒の刑事・滝沢の前に、得体の知れぬ力を秘めた野獣が次第にその正体を現し始める。怒りと悲しみの牙の矛先は、誰に向いているのか。首都高速を舞台に、貴子と獣のスリリングな追跡劇が火蓋を切った。ハードボイルドでハートウォーミングな気鋭の大熱作。
感想やレビュー
男社会で1人奮闘する女性刑事。時代的に学生時代をバブルで過し、女性も主張することが当たり前の世代。古参刑事と肩を並べて事件解決に奔走する。深夜のファミレスで人が燃える事件に始まり、次は野獣が人を襲うという不気味な展開。事件の手がかりを探るため地道に歩いては探りを繰返す、刑事の忍耐強い捜査の一端がみえた。また疾風が何とも魅力的。恐ろしくも荘厳で、そして悲壮感を纏うオオカミ犬。こんな事件を解決した後には、刑事さんはどれだけの脱力感に陥るのだろう。おそらくそんな間もなく新しい事件に向き合うことになるのだろうな。